大きいサイズ 婦人服

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近藤先生が来訪下さいました

近藤保先生は、ドイツのベルリン芸術大学でファッションデザインを講義していらっしやいます

近藤保先生

専門は立体ファッション造形と解剖学を教えていらっしゃいます。

現在は名古屋学芸大学、京都造形大学でも講義を行なっているそうです。

私と同じ文化服装学院の卒業生で、私は一年ほど同じ時期に在学したらしいのですが、近藤先生は在学中から才能を早く認められ、卒業と同時にドイツに渡られ、デザイナーとして活躍、立体裁断のデザインの会社を主催されておられます。

28歳の時から、ドイツの大学でファッションの教鞭を振るっておられ、世界で活躍されている素晴らしい人材であります。

近藤先生の個人サイトはこちらです。素晴らしい芸術家としての技術が伝わってきます!

そんな近藤先生が、何故、個人で地道に職人として生きている私のような
仕事ぶりを見学するために、来た事もなかったという東北まで足を伸ばし、プリーツの縫い方などを知りたいと思われたのか。

その理由は、大きいサイズのプリーツを手探りで探っている、私の職人の在り方にあったのだそうです…。

職人として生きる姿勢にご共感いただきました

下記は、近藤先生から頂いたメールです

ドイツで授業をしていると、ドイツ人を初めヨーロッパの若い学生の多くが
日本のオリジナル素材とそれを生かす高い縫製技術にとても興味を持っていることを感じます

私自身、自分が海外へ出て、他国の技術レベルと毎日格闘するようになると、日本人のもつ繊細さとこだわりには驚かないわけにはいきません

数年前から日本の大学でも教えるようになって帰国が頻繁になり、日本の
素材開発、また技術者の現場を訪問して見学させていただく時間を作っています

今回もネットでいろいろ検索しているときに小川様のサイトを発見し、その
内容に嬉しい驚きを感じました「ああ、ここにもいらっしゃった、素晴らしい
日本の技術者が、、」と

昨今の量産システムと、商業的な圧迫から、人の手数、クォリティーがどんどん落ちていくのは小川様がブログなどに書かれているとおりで、それは
何も日本だけにかぎったことではありません

逆に日本にはまだ「職人」の意地やプライドが十分に残っていて、そしてそれがバブル崩壊後のどん底時代を乗り切った原動力だと私は思っています

この「職人」の意地やプライドをまったく戦後ないがしろにしてきたヨーロッパのいくつかの国では今のファッション産業は壊滅的な状態です
その残され、生き残った日本の「職人」魂を見て回りたいと願っているこの頃です

ファッションの難しさは小川様も十分に理解されていることだと思いますが、
100人の女性がいれば100通りの体と、100通りの理想が存在することにあります

車のように、体に密着しないものであれば「平均値」ですべては解決しますが、服はそうは行きません。完全な服、というのはおそらく存在しないのでしょう

でも、そこを目指していくのがものづくりを人生の軸にしている人たちの責任なのではないかと思います

プリーツ工場への見学

近藤先生のご依頼を受けて、プリーツ工業の見学したいとお願いを致しました。

サンプル時代から、何度もお会いして議論をしたり、相談したりしてきた
製作部門の責任者の方に、ドイツから近藤先生が見えられるので、ぜひともプリーツを加工する工程を見学させていただけないかとお願いを致しました。

お仕事を請け負っていた頃の親しさが一気に戻って、工場への道のりは
懐かしく、様々な思い出と、現在に至る私の楽しく険しい道のりが重なり、
涙が出そうな気がいたしました(笑) 

小川さんのお客様なんだから、ご一緒してくださらないと困るでしょ?と、
一緒に見学を勧めていただいたことにも、深く感謝しています。

でも、それよりも、見学した際に、、パリコレのショー用の製作にも深く関わっている製作部門責任者である係長と、近藤先生の熱く交わされた会話は、日本の将来、世界のファッション、海外での評価の高さなど、本物の人でしか知りえない熱い会話であり、私がその席にいられたことは本当に幸せなことでした。

日本のマテリアル(素材)の素晴らしさ

「若きデザイナーである彼が、どうして
あんなに素晴らしいマテリアル(生地 素材)を使えるんだ?」

ヨーロッパの人々は、先ず特殊な生地や素材を、若いデザイナーが扱えるという、そのことに心から驚くのだそうです

これは勿論、日本の環境が作る側と、依頼する側のコミュニケーションが
良くできていて、同じ人種であるから言葉も通じるし、3くらい言えば120くらいは通じるという、日本独特の良き社会構成の結果であると、近藤先生はおっしゃっていました

世界で類を見ない、素晴らしい社会を日本は持っているのです

日本では、こういうデザインをこんな感じの生地で作りたいんだよね?って持ちかけたら、織元の工場が協賛してあれやこれや、デザイナーの我が侭とも言える要望を形にするための努力をするのです

ショーが成功するかどうか、それも自分達の生地の質にかかっていると夢中になって知恵を絞り、打ち合わせをし、メーカーと強い協力体制を保ち、物作りする

その努力は、ほとんど通常の仕事を投げ打つほどの、思い入れを賭けた、自分自身をもいとわないやり方のもので、出せる知恵を打ち合わせで出し尽くして、必死にデザイナーの思いを形にするために力をあわせる
残業代なんか出ませんし(笑)

日本は、昔から物作り日本として、戦後の急速な復興を成し遂げてきました

バブルがはじけた後、繊維業界は何度も何度も生き残りをかけた戦いの中、半分以上の企業がつぶれていき、数少ない本気で必死に生き残っている企業だけが、日本を支えています

それでも、繊維業界は瀕死の仮死状態の中にあります

いまや日本の世の中はマネーゲームに夢中です。 なんと嘆かわしいことでしょうか

某ブランドのショー用のことでも、プリーツ工場さんから熱いお話をお聞きしました…

戦う職人達

某ブランドのショー用を作る時の大変さは、私も経験が有り、二週間しかない中で必死に寝ないで働いて、命そのものを仕事にかけた経験が有ります

某ブランドの仕事には、工場の責任者や担当者の全ての人が、同じ熱い
気持ちで作り上げることに一糸乱れない心を合わせる作業を、誰もいとわない固い結束感が有るのです

「何とかして、デザイナーさんが欲しいというその形を生み出してあげたい」 
そう強く想う気持ちが、熱いのです。

プリーツ工場の人が言うには、「不可能はないと、いつも言います」とのことでした。

「出来る方法を探すこと。どうやったらできるようになるのか、考えるのです」と。

何故、某ブランドの仕事を請け負うと、そこまで夢中になれるのでしょうか。

「それは、スタッフの方々が、熱いからなんです」とプリーツ工場さんはおっしゃっていました。

アフター5の保障や、休日の保障など、いくらもらえてどれだけ保障されるのかで働くスタッフは居ないのではないかと言うくらい、スタッフの方々は熱く
仕事をします。

私が知っている頃は、朝になるまで仕事をして、そのまま会社に居続けたと思われるのが嫌だというだけのために自宅に戻り、シャワーを浴び、服を
着替えて定時には勤務に入る。

そんな事を平気で若い女の子達が自発的にしている会社が、某ブランドの強さなのですね。

今は、もう少し時間は短くなったようだよとプリーツ工場さんが笑っておっしゃっていましたが、

私がお仕事を請け負っている時の笑い話で、企画の担当者の若い女性が、パリコレの追い込みの時に、工場数件にFAXを流したということが有りました。

私は工場ではなく自宅だったので、受け取れなかったのですが(仲間はずれ…( ┳_┳)

FAXの流れた時間は、未明の4時だったか、3時だったか…。

「皆さん、頑張っていますか? 私もまだ会社でがんばっています! ショーまであとわずか。一緒に成功させましょうね!」

そんな内容だったと記憶しています。 そして、リアルタイムでどの工場も
FAXを読んで、

「こんな時間にFAXを流すかよ〜!しかも受け取ってるし俺達!稼動してるし、工場も!」と 大笑いになったのだそうです。

私も勿論、その時間に働いていたので、私だって欲しかった〜〜といじけたら、担当の女性に謝っていただいちゃったということが有りました(笑) 

今回のパリコレも凄かったそうです。また前回のパリコレでは…。

内輪話をここに書けないのが残念です。

職人気質と技術を護れ

近藤先生の今の日本に対する一番の危惧は、高い技術をわざわざ人件費が安いという理由だけで海外生産に切り替えて、結果的に技術を金を支払いながら流出させてしまっている、日本の実態が本当に心配だと危機感を訴えていらっしゃいました。

シルクの蚕を養殖する産業が日本で敗退したことの理由は、中国に
養殖技術を教えてしまったからなんですよね。

プリーツ工場さんもおっしゃっていましたが、日本国内で技術を分かち合い、お互いにぶつけ合って一生懸命技術を育てるのは素晴らしい結果を生み、結局はその産業がお互いに成長し合える大きな要素になりうると語られると、近藤先生も深くうなづかれ

近藤先生が本当に心配しているのは、海外が人件費が安いからと言う理由だけで、海外生産をすることは、日本が持っている技術を他国に賃金を支払ってまで売り渡してしまうことだとおっしゃっています。

今は賃金が安く出来て、会社としての収益は上がるかもしれないけれど、10年後20年後の日本を、本当に考えた行動といえるのか、目先の欲にとらわれた儲け主義の結果を考えているのか、嘆かわしい限りですと、日本の将来を本当に心配されていらっしゃいました。

企業が、効率化を優先し、合理主義に走った結果がヨーロッパの国々の
退廃を生んでしまっている。
ヨーロッパで作られる服は、まるで車の部品のように完全に効率化が優先されたレーンの上に流れていくだけになっている。

その点、日本は全く違う職人魂が残っている。
どうか、海外にこれ以上技術を売り渡し、日本の国力を下げないで欲しいのだと。

「どうか日本の皆さん、日本製品のよさに気がつき、良い日本製品を
使って、国力を護ってください」と訴えられていました。

私も、いくつもの工場が倒産しつぶれていくのを目の当たりにしてきているので、背中がぞっとする想いが致しました。

スイスにお住まいのお客様も、ヨーロッパの物は全くひどすぎるとおっしゃっています。
日本の品物の良さを日本に住んでいる人は知らなさ過ぎると。

「私はスイスでは洋服は買いません。ちょっといいものが欲しいときは、
みんな電車でパリやミラノに行くようです。4月にパリに歌舞伎が来るようで、みなさんおめかししてパリにいらっしゃるようです。
きっとそのときについでにお買い物もするんでしょうね。」

ユウロになって、流通がよくなり行き来も楽しくなったけれど、マスター制度で職人を尊敬しようとした社会だと思っていたドイツも、政府が無理やりにそうしようとしただけの形骸化したものであり、
物を作ることにかけての職人としての心意気は、完全に退廃しているそうです。

日本がまだ失わない、職人の心を、10年後、20年後に生かして欲しい、どうか生き残っていただきたいと願っているとおっしゃられていました。

そして…

これからの使命

近藤先生に11時から、なんと夜の7時までご一緒し、たくさんご教授頂き大きな刺激をいただきました。

悩みがあったパンツの測り方をご教授いただいたんです!

大きいサイズのゆとりの見方には、難しいものがあって、どうしたらいいのか悩む時も少なくありませんが、指針をいただき本当に助かりました。

本当にたくさんのプレゼントをしてくださった近藤先生に心から深謝いたします。

そして、私の使命も初心新たに、これからを見据えて頑張りたいと胸が熱くなりました。

プリーツは一種独特の持ち味が有り、プリーツをかける前は本当に初心者でも簡単に出来るような簡単な縫いしかないのですが、プリーツ加工後は
一気に難易度が上がり、ドレスを縫うより難しいと想うこともしばしば有ります。

シャープなラインが魅力のプリーツ。

しかし、オーダーメイドにお応えするには、採算度外視の厳しい裏事情が有ります。
プリーツは、加工の温度によって、出来上がりの巾がいくらでも変わってしまうので、オーダーメイドであなたサイズに合わせてあげることは、加工後の私の仕事が限りなく増えてしまい、涙が出てしまうことも多くあります。

小さく上がっているものはスチームでふっくらとさせて、あなたのラインを
キレイに整える分量になるように、修正します。
プリーツの山谷を壊さないように膨らませることの難しさは、とても言葉で
表現できません

時々大きく上がってしまうものや、生地の柔らかさゆえ、平らに置いたときは寸法どおりでも、着せてみたらガバガバだったということもあります。

プリーツを着たときの状態であなたサイズにするとことは、
根性の忍耐力を試されるだけの人生か?と嘆いてしまうことも多いのです。

私の仕事の内容をご説明したら、近藤先生が切なそうな視線で私を覗き込むようにして
「頑張ってプリーツと戦ってくださいとしかいいようがないですねぇ〜…」 と^^;;

しかし、命を吹き込んだものは、それだけの着心地をお届けできますし、また

「主人にキレイだよと褒められた!こんなことって、もう長くなかったのに嬉しい!」
というお喜びのご感想をいただけることが、私の日々の原動力です。

私の今生は、儲けをたたき出すことで、思い通りの遊びが出来るようになれる事を目標から捨てています(きっぱり!)

私は、私のできるすべてをかけて、一着に命を吹き込んだものをお届けしたい。

近藤先生の言われる
「100人の女性がいれば100通りの体と、100通りの理想が存在することにあります」

「完全な服、というのはおそらく存在しないのでしょう。でも、そこを目指していくのがものづくりを人生の軸にしている人たちの責任なのではないかと思います」

まさに、現在の私の仕事の困難さを言い尽くした言葉に感じます。

私は、それだけのために今日も働きます。
命ある限り、こうして現場で働き、発信し続けることが私の使命です。

受け取って喜んでいただける、福を届ける服屋であること。 
それが使命だと強く信じ、そのための研究を惜しまないことが、私の生きる意味でございます。

あなたを美しく見せる服のバランスはあなたの身体にある

近藤先生とお話している中で、大変力づけていただいた一言を最後に
ご紹介いたします

「それぞれの体型の女性がいて、それぞれに違った身体つきをしています。
だからその女性に合わせた"あなたサイズ"にしてあげるだけで、
エレガントさもずっと上等なものになり、世界は全く違ったものになります」

メーカーが作る服のバランスは、誰が着ても一番美しく見えるバランスではないのです。

単に、メーカーがマスターパターンとして平均値として出している
モデルサイズがあり、それにあわせたバランスで量産の服は作られているのです。

あなたを美しく見せるバランスはあなたの身体の個性ですから、個性を生かしてあげれば当然、個性が生きてない服を着ている人とは全く違った
エレガントさを表現できます。

優雅で上品なあなたの装いは、
他の人たちの一歩も二歩も先を行く、上等なものになります。

皇室の方々が優雅に装われているのは、皇室の方々が 吊るしの大量生産の服を着ていないからです。

プレタポルテで有名なブランドのサンプルを請け負ったことがありますが、
企画担当の方が皇室のオーダーメイドの仮縫いに今日も行って来たというお話をお聞きしたことも有ります。

あなたの身体のバランスを服に生かすことが、
ゴージャスなセレブである、あなた自身を表現します。

あなたが服に合わせられては、あなたの個性を殺していることにもなりかねません。

どうぞ、鏡の前であなたのバランスを見つめて、ご自身をよく理解してあげてください。

似合う色のパーソナルカラーと同じで、似合う丈のパーソナル着丈があるのです。
量産の服であっても、似合う丈のパーソナル着丈と合致していれば大丈夫です。

自分自身を大事にする人が、輝いて見えるということに他なりません。

似合う丈のパーソナル着丈をよく理解することが、あなたのおしゃれの
最強のツールになります。